このごろ、身体の不調はありませんか?
最近、家を移ったとか、庭に殺虫剤を蒔いたとかがあるなら要注意!普段なら風邪かな?更年期かな?アレルギーかな?って思うようなことでも、そんな調子がず〜っと続いていることはないですか?

   
 

 
 

どんな症状?

 

・発汗異常、手足の冷え、頭痛、微熱
・不眠、不安、鬱状態、不快感、疲労感、倦怠感、精神不安定
・のど痛、くちの渇き
・下痢、便秘、悪心
・目の痛み、かすみ、視力低下
・めまい、ふらつき、耳鳴り
・筋力低下、筋肉痛、関節痛
・動悸、不整脈、循環障害
・皮膚の湿疹、かゆみ、喘息

 

   
   

こういう症状があれば、暮らしに細々と入り込んでいる化学物質(化学薬品/有機溶剤/防腐剤/内装材/化粧品その他)が、その原因となっている可能性があります。また普段の自覚症状はなくても、それら化学物質は多かれ少なかれ身体の中に蓄積しています。そして、一度何かの原因でスイッチがONになったら、他の科学物質にもきわめて敏感に反応してしまうのが化学物質過敏症。そしてその原因物質が、家の建材等に使われている化学物質である場合を、シックハウスと呼んでいます。
症状は、原因物質との相関関係がなく、個人差が大きいので、風邪や疲れ、更年期障害と間違いやすい場合があります。 今や、化学物質による身体の不調を来している人が、なんと10人に1〜2人程度はいるそうです。

 

   
 

ことば、アレコレ

 

とにかく解りにくくしているのは、ことばの氾濫。
代表的なものを挙げて、頭の中を整理してみましょう。
   
     

<シックビル>
1976年、フィラデルフィアのホテルのクーリングタワー(冷却塔)の水に発生したレジオネラ菌による肺炎で29人が亡くなった事件から、建物が原因でその中や周辺にいる人が急性中毒のような病気になることを、シックビル症候群(シンドローム)と呼ぶようになりました。

<シックハウス/住原病/新築病>
化学物質を多く含んだ材料を住宅に使用して、室内の空気を汚染しています。中毒やアレルギーのような症状が、特に住宅の居住者に多いためシックハウス等とよばれるようになりました。住原病とか新築病、室内空気汚染などと同じ意味で広く知られるようになりました。

<花 粉 症>
おなじみ、スギ花粉のアレルギー症状。アレルギーというのは、かつて「かぶれやすい」特異体質の人のものだったのに、最近だれがなってもおかしくないほど。ディーゼル粉塵・寄生虫が減って抗体が減った・化学物質や電磁波がアレルギー症状を<助長する>などと言われています。私たちへの警告です。

<化学物質過敏症>
化学物質過敏症は、chemical sensitivityの訳語。まだ正式名称が定められておらず、アレルギー症状と区別するため本態性環境非寛容症とも呼ばれています。「本態性」というのは原因がわからないという意味だそうですが、現在いろいろな機関で原因物質と症状、因果関係など、研究が進められています。

<環境ホルモン>
毒性が強く分解されにくい有機塩素系化合物で、微量でも作用し、体内に蓄積されます。体内の性ホルモンの作用を乱して子孫へ大きな悪影響を及ぼし、精子数の半減・死産や流産・先天異常の可能性があるとされます。特にダイオキシンは、猛毒。他に化学物質過敏症の原因物質とよく似た67種の物質が疑われています。

 

   
 

似たもの、4つ

 

有害物質をここでは、「体の中に入れてしまうと、体が悪くなる物質」とくくってしまいます。<毒>というやつですね。 これを体内に入れたときの体の反応の違いから、シックハウスの正体を知りましょう。

 

   
   

<中 毒>
 ・症状から原因物質を推定できる
 ・症状と摂取量は、ある程度比例する
 (原因を除去すると改善する。

<アレルギー>
 ・症状から原因物質をある程度推定できる
 ・症状は原因物質の有無に敏感

<化学物質過敏症(シックハウス)>

 ・症状から原因物質は推定できない。
  原因物質と発症までの摂取量は、個人差が大きい
 ・一度発症すると、他の原因物質でも、
  またきわめて微量(ppb(ppm×1/1000))でも
  発症する
 ・症状は原因物質が無くなってもすぐには改善しない

<環境ホルモン>

 ・症状と原因物質の関係が推定(一部仮定)できる
 ・原因物質が化学物質過敏症と共通するものが多い
 ・きわめて微量(ppb(ppm×1/1000))でも
  発症する

 



 
  有害物質はどこに 衣食住すべての場面で、有害化学物質とおぼしきものが顔を出します。 環境庁では、約700種類以上の物質のシロクロを調査中です。日本では、現在約5万種の化学物質が流通しさらに増え続けています。環境庁がこれらすべての安全性を検討するのには600年かかるという話もあります。    
   
<大 気>
・粉塵/煤塵/浮遊微粒子
・亜硫酸ガス(SO2)/窒素酸化物(NOx)
 /一酸化炭素(CO)/二酸化炭素(CO2)
・鉛/アスベスト
・空中散布農薬(松食い虫防除剤など)
・ホルムアルデヒド(解放式ストーブ)/たばこの煙
・トルエン、ベンゼンなどの有機溶剤

<建 物>
・ホルムアルデヒド
・トルエン/キシレンなどのVOC(*)
・有機リン系薬剤、ペルメトリン系薬剤
・可塑剤


<家具・什器・家電・おもちゃ>
・ホルムアルデヒド(合板)
・パラジクロロベンゼン(芳香剤)
・フタル酸ジー2ーエチルヘキシル等  
 (プラスティックの可塑剤)
・ビスフェノールA(樹脂)
・スチレンモノマー、スチレンダイマー
 (ポリ食器、インスタントめんカップ?)
・電磁波(物質ではないけれど疑いあり)
<衣 類>
・トリクロロエチレン(トリクロレン)
 /テトラクロロエチレン(パークレン)
 などの塩素系化合物洗浄剤
・クリーニングの加工材
 /(折り目をつける)パーマネントプレス剤
 /柔軟仕上げ剤  
・合成繊維の下着
・ホルマリン
・防虫剤
・漂白剤(蛍光剤)
・防炎加工材/防湿加工材/可塑剤

<食べ物のみもの>
・トリハロメタン(水道水)
・ダイオキシン/PCB(魚などに残留)
・ホルマリン(輸入魚介類の保存剤)
・(食肉中の残留)抗生物質/ホルモン剤
・(野菜や果物の)成熟剤/ワックス
・(野菜や果物の)残留農薬/合成着色料
  /甘味料 /保存料/防腐剤
 /防かび剤/薫蒸剤

<その他>
・(食品包装ビニールや食器プラスティックの)可塑剤
・(缶の裏貼りの)フェノール樹脂
・殺虫剤/除草剤/抗菌剤
・芳香剤/消臭剤
・防かび剤(食器シートにも)/除湿剤
・合成洗剤/シャンプー/リンス/入浴剤
・化粧品/髪染め/漂白剤/ハンドクリーム
 /ヘアスプレー/うがい薬/義歯接着剤/香水
・(ペンや新聞、雑誌の)インク
   
 

家づくりのシックハウス対策

 

       
   

ホルムアルデヒドを含む建材や家具その種の接着剤や薬剤を使用しないこと。
合板(日本農林規格JASのFc0)やパーティクルボード(日本工業規格JISのE0)、
あるいはホルムアルデヒドを使用しない接着剤などは、一般流通が増えてきました。
住宅ホルム対策もはや常識に近くなってきています。
でも安心しないでください。せっかくFc0合板などを使用しても、防蟻剤や防腐剤を床下に平気で使用したり、ホルムアルデヒドの代わりに他の有機化合物を含む接着剤などを使っている例が多くあります。

またホルムアルデヒド対策だけに目を奪われてはいけません。その他の化学物質にも、できるだけ気を配ること。合成物質だけでなく、自然の中の化学物質に敏感な人、ヒノキの臭いに絶えられないという人もいます。住宅は、ある人に快適でも、別の人にはたまらなく不快。ということがあります。シックハウス対策の家づくりに、万人に効く仕様はありません。

換気を充分に効率よくすること。
住宅の高気密化で、室内の汚れた空気が、部屋の中に滞留しやすくなっています。人間が吐く息の二酸化炭素も、濃度が上がれば毒性物質です。調理の排気、ガスストーブ、たばこの煙も同じです。厳冬期や真夏には、あえて換気をしたくないという気持ちになります。でも暮らしにはいつも新鮮な空気が家中を巡っらせているという感覚を持って、できれば家自体が汚れた空気を自然にはき出してくれるしくみを作ることが理想的です。新築にはお勧めですし、既存住宅の改修でも状況に応じて快適空気環境をつくることもできます。

厚生省は、原因として優先的に除外すべき化学物質の室内空気中の濃度の規定を定めていますし、建築基準法にも盛り込まれようとしています。 しかし、忘れてはいけないことは、この健康被害はひとによっては、この濃度以下でも発症する特徴があるということです。
国は、いろいろなしがらみがあって、原因物質を含んだ建材や身のまわり生活品の含有濃度自体を規制しようとはしません。そういうことをすれば、現代日本の産業や日常生活は大混乱になると踏んでいますから。ですから、私たちはひとりひとりが、この身のまわりの異常事態のことを知り、自分なりの対策をとらざるをえないのです。
快適で健康な住まいは、ひとりひとりが見つけていく以外にありません。それが苦にならず、楽しみながらできるような家づくりを考えてみませんか。

   
         

 

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